日出づる処の天子

山岸亮子の「日出づる処の天子」

日本史の登場人物、厩戸王子(聖徳太子)と蘇我毛人(蘇我蝦夷)の二人を主人公にした画期的かつ耽美的な作品でした。

勿論、大大大フィクションですが。

まず、厩戸王子の設定がすごいです。

冠位十二階や十七条の憲法を作った賢人・厩戸王子は実は超能力者で、手を使わずにモノを動かしたり、

意識を飛ばして違う世界へ行ったりできます。後、謎の超音波(?)を出して、人を操ることも朝飯前。

まだ、ここまでは3人が同時に話していても聞き分けることができたという逸話が残っていることから、ぎりぎり納得できます。

後、とてつもない美少年でというのも、厩戸王子が凡人でないことからわかるのですが…。

それに加え、「蘇我毛人を恋い慕っている(それも恐ろしいほどに)」という、凡人には思いつきもしないキャラクターになっています。

この愛ゆえの恐ろしいほどの狂気が、この漫画の美しさであり、面白さです。

最初は、排仏派の物部氏VS尊仏派の蘇我氏と厩戸王子という歴史に沿って話は進むのですが、

途中で毛人が一目ぼれした女性・布都姫の登場により、彼らの愛憎劇が話の中心となっていきます。

嫉妬に狂う厩戸王子が恐ろしく怖いです。いつもは大人顔負けなほど冷静なのに、わざわざ女装して布都姫の住まいで

布都姫に悪口を浴びせたり、乞食に変装して、布都姫を大王に結婚させるよう仕向けたり、過激な方法で毛人と布都姫の仲を

割こうとします。

布津姫さえ消えれば、毛人は自分を選んでくれると当然のように思っている無邪気な王子…。

それをけなげだと思うか、狂っていると思うかは、読む人次第です。