楳図かずお「漂流教室」

過去にテレビドラマ化や舞台化もされた、楳図かずおさんのサバイバルホラー漫画です。
地震をきっかけに朽ち果てた未来へと、主人公の高松翔をはじめとする小学生や教師たちが、校舎丸ごとタイムスリップしてしまいます。
行きついた先には、荒れた土地、見たこともない化物、蔓延する病気、対立、飢え、そんな過酷な状況下でも必死に生き延びようと奮闘する子どもたちの姿を描いています。
過激な描写の数々に、小学生のころに読んで、眠れなくなるくらいトラウマを受けた最恐作品です。
中でも、物語の序盤で狡賢い大人たちが、児童を守ることではなく自分本位で動いた結果、次々と破滅していく姿はなんとも皮肉に感じました。
主人公の担任の先生もそうですが、給食のおじさんである関谷はあまりにも強烈すぎて、一度読んだら忘れられないキャラの濃さ、やりかたの汚さは飛びぬけています。
子ども心に一番トラウマになったのは、そんな大人の姿だったのかもしれないです。
場所や化物の恐さだけではなく、恐怖に対面した時の人間がどうなってしまうのか、その判断の恐さも嫌になるほど描かれているこの作品ですが、恐いけど、先が気になってしまう。
読んだら読んだで、新たな恐怖に出くわして、読んだこと後悔していた子ども時代が懐かしいです。
しかし、今改めて読み返してみると、ただ恐い作品なんかではありませんでした。
救いようもない恐怖がそこにあることは事実ですが、それに対し立ち向かい子供たちの生き抜く力がこめられていて、大人になって忘れていた「人にとって大切なこと」を教えてもらった気がします。
平和すぎてる現代だからこそ、一読して損はない。グロテスクな描写がよほど苦手な人以外には、お薦めたい考えさせられる一作です。