空が灰色だから

心がざわつく短編集。とくに好きな短編をあげていこうと思う。ひとつ目は「こんなにも沢山の話したいことがある」聞き上手な人って自分の周りを見渡してみても意外にいない。

この話に登場する城田さんの様な友人がいれば自分の話を聞いて貰いたい。独り占めして自分の話だけをずっと聞いてもらいたい位。大人しい人にも自己顕示欲はあって、それが爆発したのがこの話じゃないだろうか?コミュニケーションを取るのが苦手な不破さん。情報を収集するのが大好きだけど、それを誰かに話す機会は無いし。収集するだけで満足している。そんな所に城田さんが声をかける。

不破さんは人に自分の事を知って貰うことがこんなにも気持ちがいいと言う事に、誰かに自分の考えを共感して欲しいという思いがある事に城田さんが声をかけた事で気づいたんじゃないのかと思う。不破さんは爆発、話したい事がありすぎるのか話と話が混ざり合い混沌としている話を、城田さんは「パレットの様に色鮮やか」という言葉で表現する。これは城田さんが人の話を聞くのが大好きな性格で聞き上手スキルがあるからだと思います。

顔を赤くして心のそこから嬉しそうな不破さんの笑顔。心が温まる素敵な話。次に「空が灰色だから手をつなごう」私は親としてちゃんと普通以上の幸せを与えられているのだろうか?母親の的はずれなプレゼントに対する不満を一切顔にださず、お母さんの稔に対する思いへの精一杯の笑顔。その笑顔は皮肉にもお母さんへのプレゼントになってしまった。たった数ページに満たないストーリーに、これでもかというリアルな感情が込められている。それは切なさか、悲しさか?形容しようもないその感情は、いつまでも心にへばりついて離れてくれない。